- これは、女教皇が主軸の話。
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女教皇は静かにケーキを楽しんでいる最中、後方に不審な気配を感じた。誰かがこちらを覗いているのを察知する。驚きの表情で振り返ると、そこには塔が佇んでいた。
女教皇「早くこの家から出ていきなさい」
塔「なんで?1人でこの家は勿体無いだろ」
女教皇「何が目的?」
塔がゆっくりと女教皇に接近する。そして、女教皇が口にしようとしていたパンケーキを手でぐちゃりと潰した。静かな部屋に汚い音が響く。カスタードが飛び散り、それを見た女教皇は苦い表情を浮かべた。
塔「ねえ。祭りに行かない?」
女教皇「行かないわ」
塔「なんで?」
女教皇「この家にいることが私の使命だから」
塔「へえ。つまらない人生だね」
すると、塔は優しく女教皇の目を手で覆った。「何をしているの?」と言いたそうな女教皇の口をもう一方の手で塞ぐ。
塔「いいから。目を閉じて」
女教皇「……」
塔「そう。そして、ゆっくり目を開けて」
目を開けると、眼前に広がるのは賑やかな祭りの光景だった。しかし、その中に次々と轟く爆発音が混沌とした不安を運んできた。しかし、女教皇はそんな空間などどうでもよかった。重要なのは、何故自分がここにいるのか。
女教皇「ここはどこです?家は?」
塔「ここは家さ」
女教皇「嘘よ」
塔「さあ。どうかな?」
続けて、塔は女教皇に微笑みかけながら言った。「ここでは予測できない日々が君を待っているんだ。それに、少しは楽しんだ方がいいんじゃないかな?」と。女教皇は言葉に驚きながらも、もはや変えようのない現実を受け入れるしかなかった。
塔「綺麗な人。一緒に踊ってくれませんか?」
女教皇「嫌味な人」
塔「さあ、手を貸して」
爆発や奇抜な出来事が連続する中、彼らは踊る。足取りはリズムに合わせ、不安と冷静さが入り混じった踊りは、まるでその祭には似つかわしくないものだった。泣き叫ぶ声さえも彼らの間では、ワルツの一部と化していた。
女教皇「あなた、踊りが下手ね」
塔「それはそれは」
女教皇「不服かしら?」
塔「光栄ですよ。とても」
それでも塔に導かれるままに、更に祭りの中へと足を踏み入れた。人々の歓声と爆発音が奇妙な共鳴を生み出し、祭りの興奮と緊張が交錯する中、女教皇の心には予測不能な未来が広がっているように感じられた。
女教皇「…本当に変な人」
塔「あなたの記憶に残るなら何より」
〈終〉
今作は、塔が女皇帝に新しい世界を見せるという世界線。