『綺麗だね』塔と魔術師

タロット劇場
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夏の午後、蝉の声が耳をつんざく。魔術師はいつものように書斎にこもり、無数の本に囲まれていた。彼の手元には古びた一冊の本があり、そのページを静かにめくっていた。そんな時、突然ドアが開き、塔がふらりと入ってきた。


塔「君は本当に賢いね」
魔術師「そうかな」
塔「この本なんてどこで買ったの?」
魔術師「さー。昔すぎて覚えてないね」


魔術師の視線を古びた一冊が独占していた。塔はしばらくその光景を眺めていたが、突然顔を輝かせて言った。


塔「ねえ。俺たちの本を作ろうよ」
魔術師「タイトルは?」
塔「それは、後で考えよう」


魔術師は静かに頷いた。その夜、二人は魔術師の書斎で遅くまで話し合い、自分たちの物語を構築し始めた。


塔「やっぱりミステリーがいいだろ」
魔術師「生物学にミステリーはいらないよ」
塔「絶対いる!生物学こそサスペンスだよ!」
魔術師「じゃあ、こうするのはどう?」
塔「うーーーーーん」
魔術師「お気に召さなかったかな?」
塔「いーや。むしろ最高!」


塔の破天荒なアイデアと魔術師の知識が絶妙に融合し、次第に素晴らしい物語が生まれていった。


次の日、魔術師は目を覚まし、書斎に戻った。だが、そこで彼を待っていたのは驚愕の光景だった。彼の大切な本が全て燃え上がり、黒煙が立ち上っていたのだ。何も理解ができない。もしかしたら夢かもしれないと、現実逃避をしながら、燃え移る火をただただ眺めるだけだった。


塔「あ!やっと起きたんだ!」


塔が火の前に立ち、微笑みながら言った。


塔「この本があれば、他の本なんていらないでしょ」
魔術師「本当に…君は破天荒だね」
塔「へへっ」


〈終〉

今作は、塔が魔術師の大事な本を全てを燃やすという世界線。