ep.12
流星
…なんかさっきはありがとうね
黎
何がです?
流星
ほら。あの人たちに悪口言われたら助けてくれたじゃん
黎
まあ。衣食住を約束しましたからね。住みやすい環境にさせるのも私の仕事です
流星
仕事…ねえ…
黎
おや。誰か来ましたね。もしかすると…
飛鳥
黎様。花嫁衣装をお持ちしました
黎
ご苦労。飛鳥
飛鳥
…あの。その前にお嫁様は…その、物語とか好きですか?
流星
うん。好きだよ
飛鳥
…これ!僕が書いた物語なんですけど、良ければ読んでみてください!女の子なら好きかなって。結構評判いいんですよ♡
流星
うん。好きだよ。見せて!
飛鳥
はい!どうぞ!
流星
って、え!紫式部!?!?!あの有名な!?
流星
へえーーー!!!!あなたが紫式部なんですね!生で見れて嬉しいー!!てか、紫式部って男だったんだ…
飛鳥
え?紫式部さんは有名なのですか?
流星
え?
飛鳥
紫式部さんは団子屋の娘…ですよね?
流星
ん?待って。わかんない。この本に紫式部って書いてあるじゃないですか。で、あなたが渡してきので、あなたが紫式部さんですよね?
飛鳥
いえ!違います!これは、その…。嫁が紫式部さんっていう団子屋さんに、お手紙を書く時に…練習代としてこの本に名前を書いたんですよね。もう消えないし、書き直すのは面倒なのでそのままにしているんです…
流星
え!?源氏物語は紫式部が書いたんじゃないの!?
飛鳥
ええ。作者は僕ですから。あとこの物語にはタイトルがありません。読み手側が、読み終わった後に好きなタイトルをつける…そういう風にしているので…
流星
(待って!歴史と全然違うじゃん!!!)