『蜘蛛の巣』塔と魔術師

タロット劇場
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塔「ごめーん。魔術師いるー?」
魔術師「こんな夜遅くに誰です?」
塔「治療して欲しいんだけど」


塔はにっこりとした笑顔で魔術師の元に姿を現した。ボロボロの身体で。あまりの汚さと怪我の具合に魔術師はギョッとする。


塔「何これーって感じ?まるで嵐の前触れみたいな雰囲気だよね?」
魔術師「…はあ。まあいいでしょう」
塔「やったー」
魔術師「医者ではその怪我は治せないからね」
塔「さっすがー」


そして、塔はまるで帰り着いたかのように、軽やかに家の中に踏み込んだ。続いて、ひとつの部屋に辿り着く。椅子に座り、おとなしく魔術師の指示に従う塔。魔術師は塔の怪我を手厚く治療しながら、彼の奇妙な振る舞いに興味津々だった。そのとき、塔が不意に口にした。


塔「俺は未来を見ることができる」
魔術師「何を言い出すんです」
塔「俺は未来が見える」
魔術師「例えば?」
塔「魔術師がこの窓から飛び降りる」
魔術師「いつ?」
塔「今日」


「まさか君が未来を知っているとは思わなかったわ」魔術師が答えると、塔はニヤリと微笑んで返した。「俺は未来が見えるんだ。ほら、この窓から飛び降りるのは君だよ」


魔術師「なにを馬鹿げたこと…」


呆れたような声で応じたが、その中に微かな興味がひっそりと滲んでいた。ただし、窓から飛び降りる理由はまるで見当たらない。魔術師は、彼自身の中でそれをジョークとして受け入れた。


塔「ねえ」
魔術師「なに?」


へへへという気味の悪い笑い声で、塔が言った。魔術師は自然と手にした杖を強く握りしめた。なぜなら、瞬時に魔術師の中で、不吉な予感が広がりつつあったからだ。


塔「この怪我。自分でやったて言ったらどうする?」
魔術師「じゃあ、この呪いも?」
塔「そう」


その瞬間、塔の腕に刻まれた紋章が軽やかに解け、魔術師の目の前に優雅に舞い降りた。その後、強い突風が魔術師を襲う。その力で、魔術師は塔の未来予知通りに窓から身を放り出してしまった。必死に杖を振りながら、何とか着地に成功したが、安堵は到底できない状況だった。


魔術師「なにを…」
魔術師「っ!誰かいるのか!」


塔に授けていた信頼が一気に崩れ、怒りを超えた深い動揺が魔術師の表情に滲んだ。その頃、塔は見えない相手との魔法の戦いを上から観賞者のように優雅に楽しんでいた。


塔「だって、こうじゃないと魔術師が本気で戦うところを見ることなんてできないじゃん」


〈終〉

今作は、旧友の塔に魔術師が裏切られるという世界線。